
藍、茜、刈安、蘇芳、紫根、胡桃、枇杷、柘榴などなど、草木染めした糸で、菊や桜やコスモスの花や日本の伝統模様を、幾何学的なかがりの技法により表現する……。先人の知恵を尊びながら昔どおりに進めても、そこに現代の感覚や工夫が入れば、いつしか新しさが生まれます。
「私自身が伝統的な手まりを知らなかったので、先入観なしに自分なりの工夫をしました。それが手まりに新鮮な空気を吹き込むことになったのかもしれません。手まりが今の暮らしに溶け込み、身近にあることを喜んでいただければ。だからこそ、自分が本当に素敵と思う感覚を生かして、手まりをつくっていきたいと思います」(荒木永子)
もうひとつ、大切にしていることがあります。糸をいじめない、ということです。草木による糸染めのときはもちろんのこと、かがるときも糸を極力しごかないように心がけます。そうすると毛羽立ちが抑えられ、木綿にもほのかな光沢があると気づかされます。また糸が重ならないように気をつけてかがると、面が整って模様の密度が高まり、木綿独特のふくよかさが引き立ちます。
手まりらしさを生かした作品もさまざまに開発しています。日々の楽しみに、またギフトや引出物として、お使いいただければ幸いです。